最初に買ったセンペルビウム(2021/03/03)
最初に買ったセンペルビウム(2021/03/03)

 

友人と夫にあきられられるくらい急速に広がった多肉生活。
でも自分では全然中途半端だと思っている。

1年半たった。ハマりやすい私は同時に冷めやすい。中途半端なままでも、どこかで「気が済んでしまう」とやばい。
夫は「飽きたらどうなるんだろうね~」とベランダを眺めながら、たいして心配してない口ぶりでつぶやく。

ほんと、どうなるんだろう。

ハマってみて、コレクターの気持ちが初めて分かった(これまで収集癖はなかった)。
欲しい、見ると欲しい、見なくても欲しい。持っていないものが欲しい、それ以前に何でも欲しい。気が付くと買う行為そのものが中毒化していた。

だんだんアクセルを踏み始めたのが去年の11月くらい。3月がピークで、通販で30個くらい買っていた。一度に5-6個。それらが次々に届いて、発根させて、これまでのとあわせて植え替えて、株分けして…。と、ベランダ三か所の隙間が多肉で埋まった6月、少し疲れが出て、アクセルから足を話した。

夫の知り合いに土人形をコレクションしている人がいる。高いものには手を出せないというけれど、疲れもなく買っているらしい。苦手なPCオークションは息子に落札させ、いらなくなったお仲間の人形は引き取り、止まるところを知らず。

いいよな、人形は。勝手に増えたりしないし、大きくなって洋服変える必要もないし、何よりご飯食べさせなくても死なないし。聞けば買った後、箱も開けずに積んであるという。

私につられて多肉生活に足を踏み入れた友人は、きめ細かなお世話が苦手。ずっと室内管理で徒長させ、日光不足じゃん! と私に活を入れられ、でも徐々に慣らすんだよ、という忠告を忘れて日向に放置。「自然に任せることにした」とあきらめの報告があった。

多肉販売会もしている、もう10年も育てている、という某有名ユーチューバーさんがいる。ハウスがいくつかあって、パートさんもいる。これはもう趣味の域を超えているけれど、他にももう7年、とかいう趣味人はいっぱいいて、ずっと続く人と続かない人の差は何だろうと思う。

最初に脱落するのは、他の植物とはちょっと異なる、多肉の特性に合わせた管理ができない人だろう。観葉植物やエアープランツと同じ室内管理で、葉水してたり(友人がこれ。聞けば風呂場に置いてたこともあるという)。ちなみに彼女は塊根やサボテンも育てている。ガジュマルも普通の鉢花も、もちろんエアープランツも。

あれもこれも好きという人は、様々な植物に合わせた管理をしなければいけないから、それだけ大変だ。同じ多肉でもアガベとエケベリアとセダムは違うし、種類が増えてくると混乱する(私はこれ)。

まして、特性ごとに違う管理をするのがはなから面倒くさい、というか、育て方を調べるのすら面倒で、それ以前に名前が覚えられない(覚えようとしない)ような人は、次々に枯らす名人となる。

植物管理にはそれなりの知識は必要。でも何より大切なのは観察力だと思う。気にかけてあげること(=好きになること)。ここで名前が大事になる。人間は名前を付けて初めて、それぞれの個別性を認識できるようになるから。覚えるのが苦手な人は無理に覚えなくてもいい。名札をしっかり見ればいいだけ。

私もけっこう鉢物を枯らしたけれど、仕事を離れてからはましになった。元々調べるのは好きで、そのために名無しの多肉もなんとか名前を探しだす。観察力もついてきた。眺めるのが楽しい多肉のおかげである。自分の多肉たちをじっくり眺め、ネットや動画の多肉たちを見たりしていると、なぜだろう、どうしたらいいんだろう、と考えるようになる。

次に脱落するのが世話好きな人ではないだろうか。こういう人は案外完璧主義で、しかも押しつけがましい。研究熱心は良いけれど、自分の思い通りにならないと腹をたて、次第に関心が失せる。多肉はたいてい思い通りになんかなってくれないし、それ以上に思い通りにならない天気に翻弄され、腹が立つより前に疲れてしまう(これもあるな私)。

一番向いているのは「好き」が持続する人だろう。いろいろ試して、あれこれ考えて、失敗しても「まあしゃあないな、来年やり直そう」と長いスパンで構えていられる人。適度に力をぬくことが上手な人というか。

しばらく水をやらなくても枯れない多肉は、強健と言われている。雪にも耐えるセンペルなんか特に。多肉は土を選ばない、というのも聞いたことがある。適応能力は高いのだ。あと、多肉に捨てるところ無し、というのもある。葉から簡単にクローンが再生する生命力の強さは、他の植物にはない魅力だ。

でも、生産者は皆ビニールハウスで、場所と労力(とお金)に余裕がのある趣味人も、たいていハウスに至る。至っている、ような気がする。いやいや、ベテランベランダタニラーだってたくさんいるじゃないか、と言われるだろうか。でも彼らも余力があればハウスが欲しいはずである。ハウスでガンガン扇風機を回す。

夫が、ハウス建ててやろうか、と怖いことを言う。そのとき興味が完全に失せていたらと思うと、恐ろしくてそそのかしに乗る気になれない。そんなXデーが来ても、物置の棚として新たな居場所を見つけられるイケアのレールベリを二つ、買い足した。あとはニトリのアウトドア用折り畳みテーブルも追加。小型でしっかりとしたアイアンで、室内でもあまり目に触らず、重ねて棚にもなる。

この範囲で、「まあしゃあないな」精神で、持続可能なラインを探す。目指すはここ。今度ばかりは飽きたくない。

2022年7月23日