1年間春夏秋冬を経験すれば、だいたいのことは分るだろうと思っていた。甘かった。季節の様相は毎年変わる。苗の選択も悩ましい。
専門業者による販売会で買う場合は、そう問題はない。同じ種類で迷ったら、どちらがおススメか尋ねればよい。こっちがカワイイ、と即答してくれる場合と、あなた次第、好きなほうでOK、といなされる場合があるけれど。
一方、疑問や悩みに適切な答えが得られないようなところでは、悩みながら判断するしかない。値引き品や訳あり品の多肉など特に、選んだ苗が成功なのか失敗なのか、どこが正解ラインなのか。毎回が学習である。
その学習の経過と結果をメモ。
割安多肉徒長苗は買いか?
ホームセンターや園芸店でも、入荷したての苗や、しっかり管理された元気顔の苗であれば、もともと強健な普及種が多いし、これまでほとんど問題なし。
では徒長した苗が欲しい苗で、かつ割安値段、もしくは割引値段だったらどうする? 徒長程度×価格によって決める。そうやって買った苗がいくつかある。

パウダーブルーはカクトロコで、(2021年)7月末に買ったばかりだった。数日後のホムセンで、少し徒長した苗が安かった。肉厚で顔つきも違う。保険株にしようと購入。9月半ばに胴切り。葉挿しも成功して、4鉢になった。しかしすらりとしたカクトロコ株と、ぽっちゃりしたカーマ株、これが同じ種類かというくらいに顔が違う。姿形が気に入った場合、保険にはその株のクローンを作るのがベストなのだ、と学習した。
2月の終わり、ショッピングモール内の花屋を覗いた。観葉植物に交じってサボテンが並んでいたりもする店。セールワゴンにある緑の薄葉の大株、名札を見て驚いた。えっ! アフターグローってピンクじゃなかったっけ? 粉も取れてツヤツヤの真緑の葉がやたら長い。茎も間延びしている。一割引きで450円。高いのか安いのか。いや、値引き前のワンコインだって相当安い。
迷わず買った。これも胴切りすればいいやと思った。慣らしながら陽に当てていたら、数か月で色はきれいなピンクになった。粉も出てきた。下葉はどんどん枯れていき、間延びは気にならなくなり、幹立ち株になった。でも、長めの葉っぱは変わらない。買ったときにすでに葉わたり12センチくらいあって、今や我が家の先輩株よりでかい。

一方幹はひょろりとしていて弱弱しい。来春の植え替え時に仕立て直ししたほうがいいのかも。いや、今年の春にやはり胴切りすべきだったか? そもそも、もやしっ子はその後の成長ももやしタイプなのか? 徒長株を元気株に回復させるには、かなりの時間とテクニックが必要なのだと学習。

先日の88円B級品はかなり微妙。触るとぽろぽろ落ちる葉がある。伸びた葉から元気顔が想像できない。根をあまりいじらずに植え替えたけれど、しっかり育ってくれるかどうか自信がない。様子を見て胴切り処置が必要になりそうな気もする。
運命的に出会ってしまったら
これは別のケース。今年の正月明けの大手チェーンのスーパー。切り花コーナーのとなりに多肉がいくつか並んでいた。ビロビロに徒長した苗は、名札の名前は異なるのに見た感じは全部一緒。ここまで伸びきって無個性になった多肉を見るのは初めてだった。
なかに葉っぱは伸びているけれど、それほど徒長していない種類があった。レジを済ませた後もその苗が、ここから連れ出してくれ!と言っていたように思われて、348円だし、と戻って買った。それがシルバークイーン。名前も知らず、(徒長しているから当然だが)それほどカワイイとも思えなかったのに。

不思議なもので、植え替えて我が家のベランダの棚に並べたとたん、妙な愛着が湧いてきた。赤くもならず、細長い葉っぱのままだけれどすくすく育ち、若干紫色を帯びたシブい味を出すようになった。今では結構なお気に入り。こんな嬉しい出会いも、たまにはある。
多肉徒長苗は教材として買う、賭け気分で買う
以上の経験から言うと、元気な良い苗を買えるのであれば、徒長苗はできれば買わないほうが良いと思う。徒長苗は弱いから、その後の成長具合がイマイチで悲しい思いをする。ただし、胴切りに失敗しても、あるいはダメになっても後悔しないと思えるならば、一考の価値はある。学習用教材として、色んなことを教えてくれるから。
日光不足の顔つきから、その多肉本来の元気顔を想像するのは結構難しい。知っている苗や本に載っている有名どころなら、その姿を期待して(ただし期待外れも覚悟して)買ってみるのもあり。
そして最後に、知らない苗でもどんな姿になるんだろう? という半ば賭け気分で買うのも、値段次第ではありだろう。それが当たりだった時の喜びは値段が安いほど大きくて、下手をすると病みつきになる。
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