最初から幹立ちしていて大き目だった。1年と数か月後、一層大きくなり、高砂の翁の隣で引けをとらない貫禄である。葉渡り20㎝超。
存在感あふれるデカ・エケベリア(d’Echeveria)第二弾はパウダークイーン。フリル系高砂の翁と違い、こちらは靴ベラのようなスプーン状の葉で、丸みを帯びたカーブが美しい。
うちの d’Echeveria デケベリア① – クイーンは誰? 高砂の翁
去年の5月、夫が仕事で浜松に行くというので、市川ふぁーむさんの場所とハウス販売の日程を調べた。現場に行く道筋でしかも営業日。頼んで買ってきてもらった多肉のひとつがパウダークイーンだった。しかもラベルにはLierとある。
多肉についても他肉界についても何も知らないのに、よくまあリエール苗を選んでくれたじゃない! と小躍りして迎えた My First Lier。
ちなみに夫が他に選んだのは、桃美人×アルビカンス(パキフィツム×エケベリアエレガンス)、ペンデンス(コチレドン)、ブルービーン(グラプトペタルム)、チョコレートボール(セダム)と、属の選択も満遍なく、持っているものはひとつもなく、当時知っているものも一つもなかった。
見事な選択ありがとう! 聞いたら、ちょうど閉店したところを無理を言って入れてもらい、我が家のベランダに無さそうなものを適当に、5分で選んだと言う。適当が良かったのか、市川ファームさんの品ぞろえが良かったのか。
ただし、自分だったらこの選択をしなかっただろうと思う。微妙に好みが違う。でもかえってそれが良いんだよね。自分で選ぶと、同じようなものばかりになってしまう。お任せ苗セットもそう。たまたま我が家にやってきて、最初はそうでもないのに、次第に愛着が湧いてくる種類がある。逆に、気に入って買ったのに、お気に入りにならない苗もある。多肉は表情を変えるし、成長すると姿形も変わる。人の好みもまた変わる。
パウダークイーンは初対面で好きになり、ずっと変わらず好きな多肉のひとつ。それなのにこの冬と夏で、傷だらけにしてしまった。
問題は置き場所。室内から一番視線が行くベランダフェンスに設置した棚。日当たりも風通しも良い一等地。ということは、冬は寒さ対策が、夏は強光対策が必須。なのに、どちらもつい後手になり、パウダークイーンが身をもって教えてくれて初めて気づく情けなさ。
冬、右下(時計の針4時)の葉は色が抜け、ひび割れのような傷になってしまった。何か月もたっているのにそのまま変わらず。左下(時計の針8時)の葉は夏本番前の急な高温でじりじりと焼かれた火傷状態。

傷の出方は異なるものの、どちらも葉の真ん中あたりに、帯状に傷が広がっている。これはどういうことだろう?独特の靴ベラスプーン状態は水が溜まりやすい。この形状が悪いのか、それとも何か別に原因があるのか。この二枚に挟まれた葉は、先端から枯れていく通常の枯れ方で、特別寒さや暑さに弱いということではないような気がするのだ。
寒さと日照り、どちらもちょっとだけ気を付けていれば被害事故は防げる。これからは、真っ先にアラームを出してくれるパウダークイーンを最初にチェックしよう。
が、事故はこれだけではない。この夏張った遮光ネット、網目が非常に粗い。風があると押したり引いたりするのだが、その際葉やラベルや花芽を引っかけて持って行ったり、押し倒したりする。一度は西ベランダ。トレーごと引っ張られ、かろうじてトレーはネットに支えられたものの、鉢がひとつ屋根の上に吹っ飛んだ。
気の毒なセンペルビウムは、数時間焼けた銅板の上でローストされてしまった。救出したものの、10日ほどたってもまだ病人のような顔色をしている。
数日前東ベランダで、ドンという鈍い、いやな音がした。重みのある落下音である。パウダークイーンが転がっていた。ネットに押し落とされたのだ。でも、なぜ、またパウダークイーン? 棚に横に同じ5号鉢で並んでいる多肉たちの中でなぜ真っ先にパウダークイーンなの?
三枚の葉が横に折れていた。ただ完全にちぎれているわけではなく、どれもなんとかつながっている。見ると、8月の最初にはすべすべだったパウダー肌に、吹き出物のようなぼこぼこも出ている。女王、満身創痍になってしまった。

でも、すごいのは、それでも実に堂々としていること。ちょっとやそっと傷があろうが、お肌が荒れようが、クイーンの気品は少しも揺らがない。その自信あふれるたたずまいに、さすが!と惚れ直したんだわ。
きっと交配で、パウダーブルーの親戚なんだろうけれど、詳しいことがわからない。どんな性格なのか、適切な育て方はどうなのか。
ネットで調べるも、そもそもパウダークイーンでヒットしない。引っ張ってくるのはパウダーブルー、パウダーパフ、ナントカクイーンと、パウダーor クイーンばかりで、パウダー and クイーンがない。そんなに出回っていない種類なのか?! いやーもっと大事にせねば。それに保険株も作っとかなくっちゃいけないね。このでかい葉っぱ、葉挿し出来るんだろうか…。

真ん中、凍傷の葉っぱも火傷葉も枯れ落とし、お肌すべすべだった頃、ちょうど一か月前のパウダークイーン。左のパール・フォン・ニュルンベルクも、右の高砂の翁もイイ感じだったなぁ。
コメントを残す