大寒波、やられた多肉と耐えた多肉 — 環境対策について再考したこと

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1月25、26日、10年に一度の寒波到来。記録は氷点下2℃だった。
やったこととやらなかったこと、やったほうが良かったことなど、のど元過ぎると忘れてしまいそうなので忘備録として。

実は-2℃くらいまで下がる日は去年もあった。それであまり真剣に寒さ対策を考えていなかった。
去年は不織布をかけたりしたのを、今年はやめようかとすら思っていた。
それでもあまりにニュースが脅かすし、ネットでもタニラーさんたちが備えを呼びかけているしで、出来る範囲でやっておくかと重い腰をあげた。

結果、大寒波は気候温暖な静岡にもがっつりやってきた。少しでも対策をとってよかった。それでもやられた苗がいくつか。去年はゼロだったから、やはり今年の寒波はきつかったのだろう。

が、それだけではない理由も思い当たる。管理数が増えて目が行き届かない苗があったことと、数が増えたため屋根ひさしのない風当たりの強い場所にも多数の多肉を置いていたこと。今回、温度だけではなく、風や水分量など他の要素によっても多肉はダメージを受けることをあらためて思い知らされた。

 

大丈夫だった苗、その一 冬中ずっと屋内窓際管理

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最低気温が5℃まで下がったタイミングで取り込んでいた苗たちは、もちろん問題なし。

・カランコエ(兎系、唐印、ファングなど)ただし忘れていた種類はやられてしまった。後述。
・サンセベリア(シルバーブルー、ハニー、スパーバ)
・パキポディウム(ラメリー)
・ユーフォルビア(紅彩雲閣、姫キリン)
・アロエ(翡翠殿、Superfoliataなど) Superfoliataは去年ベランダで傷んでしまったので取込むことに。
・アロマティカス、カリシア
・その他葉挿しや植え付けたばかりの小苗など

 

大丈夫だった苗、その二 寒波の間、夜だけ屋内管理

寒波到来前夜からしばらくのあいだ、夜は部屋に取り込み、日中は外に出すことにした苗たち。

・薄葉で、寒さで葉の枯れ込みや痛みが気になる苗。
カンテ、アフターグロー、パウダーブルー、パウダークイーン、プリンセスパールなど。

・軒のひさしが浅く、風あたりが強いベランダの苗。取り込みやすいワゴン管理の苗。
エケベリア、アガベの小苗、葉挿しなど。

 

大丈夫だった苗、その三 ひさし屋根下不織布かけ

深い屋根ひさしに覆われたベランダながら、念のため不織布をかけることにした。去年使った薄手の一枚重ねでぺらり。

・エケベリア全般
・コチレドン(ペンデンス)
・アエオニウム(夕映え、黒法師、カシミアバイオレット、トドランタリス、など)
・アガベの一部(チタノータ、ガルシアメンドゥーサ)

 

大丈夫だった苗、その四 対策なし

・屋根ひさし下のエケベリア(七福神など)
・センペルビウム全般(ひさし有り、無しいずれもOK)
・セダム(ひさしの有無、種類によってダメになったものもあり。後述)
・グラプトペダルム(おぼろ月)、グラプトベリア(マーガレットレッピン、初恋など)
・パキフィツム(千代田の松)
・セネシオ(万宝、アーモンドネックレス、美空の鉾など)
・オトンナ(ルビーネックレス)
・クラッススラの一部(クーペリー、火祭り、紅稚児など)
・アドロミスクス
・アガベの一部(パリー、雷神)

 

大寒波に耐えられなかった苗 、その一 寒さに弱い苗なのに放置したため

うっかり放置したカランコエが二種類ダメになっていた。不死鳥と胡蝶の舞。

不死鳥はものすごい生命力なので、カランコエといえども大丈夫だろう、とどこかで思っていた。嫌われ者に近い繁殖力もあって、あまり大切にしていなかった。ベランダの端の吹きさらし放置じゃやっぱりきつかったか不死鳥、申し訳ない。

でも軒下の、更に棚の下に置いていた鉢は、一部は凍ったものの何本かは生き残っていた。不死鳥の名に恥じない強さも再確認。

胡蝶の舞は秋に買ってそのままにしていたポット苗。エケベリアに交じってうっかり不織布の下にいた。寒波が去って、あれこんなところにカランコエ、と触ったら葉っぱがバラバラバラと落ちた。見ればキレイにジュレ状態。カランコエは基本屋内管理にすべし。

 

大寒波に耐えられなかった苗 、その二 風にやられたか、水が多かったか?

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去年の夏、増えた多肉の置き場所を新たに作った。二つのベランダに角柱を渡し、その上に網を張った空中廊下状の棚である。夏を旨としたとっても風通しの良い棚には、小苗のセンペルビウムと寄せ植え用のセダムやクラッスラ、そして姫秀麗なんかを置いていた。

ほとんどは大寒波にも耐えてくれた。のだが、やられた苗もあった。セダムのアドルフィーコッパーとスプリングワンダー、クラッスラのフンベルティとサルメントーサ、そしてセデベリアの樹氷。樹氷は名前からして寒さに強いと思い込んでいたのだが、風に当たる片側の葉ががしおれた。せめて軒下の風の通らないところに移動してあげるべきだった。ちなみに同種でも軒下組は大丈夫だった。

このあまりに風通しの良すぎる棚は、冬は超過酷な環境になるということ。本当に失念していた。風は夏は味方だが冬は敵なのだ。

 

その他一部が傷んだ苗について

葉や茎が凍ってダメになったわけではないけれど、葉焼けのように一部黒ずんだりした苗があった。七福神やピーチプリデ。これは水が足りなかったのか?

他にもセダムは気が付いたらほぼなくなっていた鉢がある。寒波の前に消滅していたのかもしれない。目が行き届かない苗はしっかりチェックしきれてもいない。

そうかと思えは、ミセバヤはすっかり地上部が枯れ、その下からすでに新芽が顔をのぞかせている。伸びた先はダメージを受けても、下生えの部分は大丈夫なセダムもある。これも新芽なのか?

とまだまだそれぞれの特徴を把握しきれていない。相変わらず水管理も外しているような気がする。あげすぎてしまうか、足りないか。これは年間を通してだけど。

 

次回にむけての自戒、反省、再考察

ヨーロッパアルプスの雪と風を耐えるセンペル君たちも、すっかり外葉が枯れ、小さい苗がますます小さく縮こまり、寒そうにしている。上からだけでなく、下からも風がヒューヒュー吹きつける環境ではさもありなん。いくら寒さに強いとはいえ、少しは手をかけてあげるべきだろう。次の寒波にはトレーの下に断熱シートを敷くことにする。

ひさし(覆い)も大事。むき出しで風に晒されるのと、少しでも軒があるのでは、影響はかなり違う。なるべく壁際にまとめてあげよう。

そして最後に大事なのは水。水が無くては生きていけない他肉も植物に違いはない。けれど、なぜ彼らは葉っぱや茎に水をためられるのか。そのことの意味を改めて思う。

夏、水のない過酷な乾燥地帯で成長を止め、最小限の水で蒸れを抑え、生き延びる。そして冬、樹液を濃くしておけば零下でも凍らない。冷凍庫でも凍らないウォッカみたいに。たとえ凍っても、完全に細胞が壊れてしまわなければ復活もできる。

寒波の少し前、センペルとセダムに水をあげた記憶がある。同じトレーにいたアドルフィーコッパーにも。あのアドルフィー…には、上下の吹き曝し風と水分過多でダブルパンチだったのかもしれない。それが証拠に、アイキャッチ写真のアドルフィーは軒下水切れ管理。夏の徒長から紅葉を保ったまますくすくと元気である。

今回の大寒波は、温暖な地域といえども油断は禁物ということを教えてくれた。加えて、水と風のコントロールがいかに大事かということも。少しでも良い環境で冬越しするために、(たいした手間でなく)できることはまだまだあった。

 

追記1:プロに教えてもらったこと

ある生産者さんの動画で、同種の多肉で凍る場合と凍らない場合の違いが解説されていた。風と水分量のコントロールに加えて株自体の状態にもよると。

曰く、しっかりと成熟し、根詰まりしているような苗は凍りにくいという。逆にみずみずしく青々した成長途中にある株は凍りやすい。なるほど。我が家のアドルフィーコッパーも、凍った株は青々としていたし、凍らなかった株は根詰まりしてるっぽい。

もう一つ盲点だったのは、普段の最低気温が高い地域(ウチだ)の多肉は寒さに順化していないため、急に寒くなった場合は弱いのだということ。特に氷点下が長時間続く場合。そうだよねえ。言われてみればその通り。

これからは株の状態でも置き場所を選ばなければいけない。忘れないようにしなきゃ。

 

追記2:恐るべし不死鳥

2月になって裏庭からふと見上げ、初めて気づいた。不死鳥が知らぬ間に屋根の雨樋に自生している。ちょうどベランダの裏のあたり。

陽の当たる樋に生えていたのは知っていた。何とかしないとそのうちヤバいことになりそう、と思いつつほっておいた。そちらは寒波でぐにゃりとへたり、枯れてしまった。それなのに。

雨風をしのげば何とか耐えられるということか。丈は20㎝くらい。種(むかご)は落ち、葉のふちはのっぺりしている。春が少し怖い。

 

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