多肉植物だけではないが、店頭に並んでいる苗のなかに、買ってはいけない苗というのがある。複数の中からより良い苗、気に入った苗を選んだつもりが、後々失敗が判明する。失敗は案外早くわかる。失敗例をしっかり記憶して、次は買わないようにしたい。そもそも園芸店の中には、多肉の管理方法をよく知らない店もある。
例1. 多肉管理のできない店で買ってはいけない
夫の知り合いのBto B 園芸花き業者、最近小売園芸店もオープンし、商売人だから多肉もたくさん置いてるよ、と聞いた。6月の梅雨の晴れ間に訪問。アガベ1鉢、セダム2種類、センペルビウム一つ、どれも割安感があった。おまけに素敵な焼き物の鉢もゲットして満足したのだが…。
コーヒー飲みながらおしゃべりした際、なんで多肉がいいのか全然わからんなあ、と商売人社長が口にした。夫も同感と言う。ま、そういう人はいるよね。そういう人が仕事で売るのもありよね。とその場は流した。これが何を意味するのか、帰宅した後で分かった。
温室内にあったアガベは、気持ち徒長していたが気にならない程度。秋に鉢増しすることにした。セダムは土がカチカチだったけれど、持っていない種類でかわいかった(白雪ミセバヤと赤葉ベンケイソウ=アイキャッチ画像)。植え替えは涼しくなってからにしよう。徒長を承知で買ったペンタンドルムは根鉢を崩さず植え替え、秋に胴切りすることに。

センペルビウムは、成長した子株がたくさんあふれんばかりに詰まっていて、植え替えが必要と判断。ところがこのセンペル、たっぷりと水やりされていて全然乾かない。見るとまるで粘土のようなねっとり土。乾くのを待っていられないと抜いてみれば、根の状態もすこぶる悪い。明らかに根腐れしている。根を整理して植え替えてはみたけれど、親株も子株もあっという間に全滅。
山間部の涼しい地帯のハウスの中、環境は悪くない。でも、たぶん他の花や木と同じに水やりされていたんだと思う。管理はスタッフ担当で、社長に責はないと言われるだろうか。私はそうは思わない。「何がいいのかわからん」から、植物に合わせた管理の指導がいきわたらない。たぶん、いやきっと。
先日(8月7日)、セダムも調子が悪くなっていて、あわてて植え替えた。やっぱりダメかも。もっと早く植え替えるべきだった。
こういう園芸店で、多肉を買ってはいけない。買う場合はよくよく苗のチェックが必要。センペルの子株があれほど育って鉢がパンパンになっていたのは、仕入れてから結構時間がたっていたからだろう。その間適切に管理されていればこんなことにはならないけれど、それでも時間が経った苗は要注意。
生産農家によっては、多肉でもかなり水持ちの良い土を使うところがある。そんな土でしょっちゅう水やりされれば、こうなるに決まっている。だからなるべく仕入れ直後に買うのがベスト。今回は時間経過で増えた子株の数に目がくらんでしまった。また、日照不足の徒長はみればすぐ分かるけれど、土と根の状態まではなかなかチェックできない。
そういえば葉の色は結構きれいだった。これもチェックポイント。オレンジっぽかったり、赤っぽかったりが、根や茎の痛みの兆候ということは多い。
今回割安と喜んでいたが、結局はしっかり授業料を払う結果となった。残念ながらどの苗にも難があった。そんな店はそうはない。もうあの店には行かない。我が家から車で1時間範囲なら、他にも良い専門店が何軒もある。
例2. 信頼の多肉充実店でも、見切り品には要注意!
昔からの園芸店が営業方針を変えて改装オープン。多肉の品揃えがすこぶる充実したショップになった。アガベなど専用の温室に大株や中株が並んでいる。車で20-30分と行きやすいし、優良育成業者の苗から普及種苗まで幅広く取り揃えている。ルノーディーンやカンテとか、その辺ではお目にかかれない苗が並んでいることもある。
この店の屋外多肉コーナーのはずれ、木の箱に見切り品100円が並んでいた。もりもりの小さな固めの葉の密集と、オレンジっぽい色が気に入った。信頼している店ということもあり、それほどしっかりチェックしなかった私は確かに未熟者。本当に修行が足りないと思い知らされた苗だった。
札はついていたけれど、ただ多肉植物とあるだけだった。植え替える前にPictureThisで検索した。アナカンプセロス属 サンライズと出た。他の写真例の下に、コナカイガラムシ、とある。えっ⁉とのけぞった。小さな文字が、あなたの植物には植物の害虫として一般的なコナカイガラムシがいます、と教えてくれていた。

白い綿毛が出ているため見つけにくいが、確かに綿毛よりしっかりとしたつぶつぶが列になっている。
我が家の多肉に発生例はなく、購入時についているとはまさか思わなかった。即刻、苗をビニール袋に入れて口を縛り、捨てた。カイガラムシ系はけっこうやっかいで、昔ボタンについたのを竹串で落とすのがとっても嫌だった。薬剤が効きにくいというし、使う気にもなれなかった。あの作業を多肉でする気になれない。
今思うに、完全に隔離できれば、薬剤を散布して様子を見ても良かったかもしれない。確かカイガラムシ用の薬剤もあるはず。あるいは翌日にでもお店に持っていけば、健康な苗に交換してくれただろう。
でも100円のために往復1時間かける気になれなかったし、薬剤を買いに行くのも面倒。それより前に、虫まみれの鉢を一晩どこに置けばよいのか。取り逃がしたカイガラムシが我が家のベランダに増えるリスクを考えると、他に選択肢はなかった。
そうか、虫って園芸店にもいるのか。調べてみたら、けっこうあることのようだ。園芸店で発生したのか、仕入れ時にはもうついていたのか、両方ともあり得るだろう。ちょっと気になっているのは、知ってて見切り品にしたのかどうか。ただのチェック不足だと思いたい。
ただ、見切り品という時点で、傷みか弱りか、何かマイナス要因があるのは確か。それを承知の上で買ってくださいよ、という商品で、良からぬことが起きる確率は高い。何が見切り理由かという観察力と知識が備わるまでは、買わないほうが良いかもしれない。
近所のスーパーのB級専門花屋で、胡蝶蘭の鉢を買ったことがある。万単位の大株仕立てではなく、小さな単体で、でも花色がきれいで気に入った。確か380円だった。長く花を楽しんだあと植え替えたら、2年目にまた開花した。
友人は別の店で、花の終わった胡蝶蘭を200円で購入。胡蝶蘭を翌年も咲かせるのはかなり難しいけれど、立派な陶器の鉢代と考えればかなりお得。安物買いの銭失いにならないためには、これだけでも元が取れる、という見極めも大事だと思う。
購入時の参考に前記事もどうぞ
ホームセンター多肉の徒長苗はお買い得? 買わないほうが良い苗も…
こちらもよくまとまっていて参考になります
最後に、買わないほうが良い季節
先日オンラインで、韓国苗の輸入業者の苗を買ってしまった。紹介動画を見てショップに行くと、その時点で売り切れていたりする人気ショップ。それがまだ残っていたのでつい。通販で買うのは秋になってからにしよう、と思っていたのに…。
7個のうちひとつがやられていた。普通の宅急便で、西日のあたる宅配ボックスに置かれてしまい、余計いけなかった。葉をもぎり、茎の傷んだ部分を取り除き、涼しい部屋で様子を見ている。夏はやはり難しい。
去年6月の終わり、別のところから届いたカット苗はクール便だった。自分で選んだのかどうだったか。たぶんショップの判断だったような気がする。今回もクール便が良いかとチラリと思ったけれど、発送が8月の終わりからというんでのんびりしていた。それが勘違いだったのか、すぐに届いてしまった。皆夏は買い控えてるからか?
7月の終わりの販売会で買った苗も、ひとつ様子がおかしい。こちらはポット苗だった。
言うまでもなく、夏はなるべくなら買わないほうが良い。秋まで待とう(がまんできるなら)。
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